平成24年 血友病の新規治療製剤
平成24年 血友病の新規治療製剤

血友病の治療製剤は日進月歩の進化を遂げており、最近の製剤は効果だけでなく、非常に高い安全性を持つに至っています。
現在の製剤は献血由来であれ、遺伝子組み換え型であれ、健常な人が持つ凝固因子と全く同じもの(遺伝子組み換えではコピーと呼んだ方がよいかもしれませんが)を使用しています。従い、どの製剤を選んでも効果は同じであり、各メーカーは他社との違いを出すために、製造法による安全性を謳ったり、使いやすい輸注キットを付けたりと、効果ではなく使いやすさを主眼に置いた競争が行われているる状況です。

現在の製剤を「従来型」と仮に呼ぶとして、依然として従来型の開発は続けられており、例えば以下の様な製剤が臨床試験中です(いずれも臨床試験中であり、何か問題が見つかれば製品化がキャンセルとなる可能性があります)。

薬剤種(製造メーカー)の増加は供給安定化に大きく寄与すると思われ、さらに価格が低下すれば我々にとっても有り難いことです。

BAY81-8973
バイエル社コージネイトFSの後継となる、血友病A向け遺伝子組み換え第VIII因子製剤。 製剤原料の製造プロセスを改善し、ヒトまたは動物由来の原料を排除。現在臨床試験はフェーズ3。

BAX326
バクスター社の新しい血友病B向け遺伝子組み換え第IX因子製剤。 従来遺伝子組み換えの第IX因子はファイザーのベネフィックスだけだったが、バクスター社も参入。現在臨床試験はフェーズ3。

BAX817
バクスター社の遺伝子組み換え活性化第VII因子製剤で、血友病A/Bのインヒビターの治療向け これまでこの領域はノボ社のノボセブンだけだったが、バクスター社も参入。

Bドメイン除去第VIII因子製剤
元来、ヒトの第VIII因子はAドメイン、Bドメイン、Cドメインの3つのドメインから構成されている(A1-A2-B-A3-C1-C2)。 このうち、A2とA3の間にある血液の凝固と無関係なBドメインを遺伝子組み換えにより削除して合成したもので、第VIII因子製剤の製造効率を改善させたもの。

*注:臨床試験のフェーズは以下を表す。

  • フェーズ1:健常成人を対象とし、被験薬を少量から段階的に増量し、薬物動態や安全性について検討することを主目的とした探索的試験。
  • フェーズ2:比較的軽度な少数の患者を対象に、有効性・安全性・薬物動態などの検討を行う試験。
  • フェーズ3:出荷後に実際その製剤を使用するであろう患者を対象に、有効性の検証や安全性の検討を主な目的として、より大きな規模で行われる試験。

長時間作用/作用増強型凝固因子製剤

従来型製剤に対し、新しいタイプの製剤が開発されつつあり、臨床試験が活発化しています。

まずは、最近よく耳にする長時間作用型製剤ですが、これは主に「高分子物質結合凝固因子」と呼ばれ、さらに幾つかの種類が存在します。

PEG結合型凝固因子
凝固因子に高分子物質であるポリエチレングリコール(PEG)を結合させることにより、血中での安定性を高め、半減期を延長する製剤。
PEGは既に色々な薬剤に利用されており、PEG化インターフェロンや、PEG化赤血球造血刺激因子製剤など、薬剤の効力を延長したり副作用を軽減することに寄与している。

各社、長期